酒粕

産地と属性

日本酒の醸造プロセスにおける「もろみ」の状態から、日本酒を搾り出した後に残った固形物(搾りかす)のこと。原料となる酒米に対して25%ほどが酒粕になると言われており、様々な栄養素を豊富に含んでいる。酒造りによってできる副産物ではあるが、近年は発酵食品としても注目されている。

市販されている酒粕には、絞った後にそのまま固め板状にして乾燥させた「板粕」、板粕を一定期間熟成させて練り直した「練粕」、板状にせずにバラバラのものをそのまま出荷する「ばら粕」の3種類がある。板粕は保存性が高く扱いやすいため、粕汁や漬物などに使われることが多い。練粕は柔らかく、熟成させると甘みや旨みが強くなるため、奈良漬などの漬物で使われる。ばら粕は扱いやすいが、保存には不向き。甘酒や料理の隠し味に使われる。

一般的に「赤酢」として知られている「粕酢」は、酒粕を酢酸発酵させることで作られる食酢。江戸時代、米を原料にした米酢よりも安価だったため、寿司に用いられるようになり、寿司が広く食べられるキッカケになったと言われている。

栄養成分の働き

酒粕特有の成分であるレジスタントプロテインは、難消化性のたんぱく質で、コレステロール吸収を抑える効果がある。脂質代謝を改善し、生活習慣病の予防に役立つとされている。

ビタミンB群はエネルギー代謝を助け、疲労回復やストレス軽減に効果がある。特にB2は皮膚や粘膜の健康を保ち、アミノ酸類とともに美肌効果が期待できる。

葉酸は造血作用があり、貧血予防にも役立つ。

食物繊維や発酵由来の成分によって、免疫力を高める効果も期待できる。

栄養成分

炭水化物、たんぱく質、ビタミンB1・B2・B3、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など

注意点

酒粕には少量のアルコール分が含まれていることが多く、酔うことがある。酒粕を使った料理や甘酒を子供に与える時などには注意が必要。

ポイント

魚や肉などの粕漬けは、焼くときに焦げやすいため、粕を落として焼くと良い。

酒粕は熟成が進むため保存が効く。冷暗所での保存が望ましいが、冷蔵保存した方が良いものもあるため、パッケージなどの注意書きを参照すること。

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