産地と属性
ノパール(又はノパル)は、サボテン科ウチワサボテン亜科オプンティア属のサボテンで、メキシコでは古くからその若い茎節を食してきた。食用にされるのは5種ほどで、実の方は「トゥナ(tuna)」と呼ばれ、フルーツとして食されている。ラテンアメリカでは、紀元前から食べられており、現在では、地中海沿岸地域やアフリカの北部などでも消費されている。
17世紀末頃渡来したといわれているサボテンは、日本では主に観賞用とされてきたが、愛知県の春日井市では1959年の伊勢湾台風で壊滅した果樹園を使ってサボテンを育て、近年は食用サボテンの栽培にも力を入れるなど国内での一大産地となっている。国内産の旬は4月から11月頃まで。他にメキシコからの輸入品は通年販売されている。
食べる際には、表面の棘を抜くかナイフなどでそぎ落とす。青い皮と中の白い部分ともに生で食べることもできるが、軽く茹でてサラダや和え物の具にしたり、そのまま焼いてステーキにするなど、色々な食べ方ができる。
ちなみに、以前のメキシコでは“貧者の食べ物”とされてきたが、近年はヘルシーな食材として見直され、富裕層も積極的に消費するようになっている。
栄養成分の働き
水溶性食物繊維が体内の水分を吸収し膨らむことで、満腹感が得られやすくなり、ダイエット効果につながる。また、消化を助けて腸の働きを整える作用もある。
βカロテンの抗酸化成分によって、がんや動脈硬化の原因となる活性酸素の除去に効果がある。熱によっても抗酸化成分が損なわれることがなく、油と調理することで効率よく吸収することができる。
カルシウムやマグネシウムの他、クエン酸などの有機酸によって、疲労回復や精神安定などの効果が期待できる。
さらに、動物実験では、サボテン粉末を摂取することでアレルギー作用を抑制する結果が出たという報告もある。
栄養成分
食物繊維、βカロテン、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、クエン酸・リンゴ酸など
注意点
表面の棘は鋭く硬いため、すぐに刺さるので注意が必要。太い棘以外に細い棘も沢山あるため、よく見ながら抜くか、包丁などでそぎ落とすこと。
ポイント
保存する際は、棘がついたままの状態で湿らせた新聞紙などで包み、ナイロン袋などに入れて冷蔵庫へ。1週間程度は良い状態で保存できる。