産地と属性
無顎口上綱ヌタウナギ綱に属する、ウナギやアナゴに似た形状の生物。但し、顎がなく目も退化しているうえに、体全体が粘液で覆われているまったく別の生物で、ヤツメウナギに近い脊索動物。厳密には魚類には分類されず、「生きた化石」と呼ばれることもある。漢字では「沼田鰻」と書き、これは皮膚の粘液による体のぬるぬるが沼田に似ていることに由来する。
世界中の温帯域の深海を中心に分布しているが、日本近海では宮城県から九州南岸に至る広い範囲の比較的浅い砂泥中に生息している。
国内で獲れたものの多くは、主要消費地である韓国に輸出されている。韓国では、ぶつ切りにしてニンニクとコチジャンなどと炒めた料理がポピュラー。国内では、秋田県の男鹿半島で干物にしたもの焼いて食べる「棒あなご」がある。また、同じように作られた干物を「棒鰻」と呼ぶ地域もある。
栄養成分の働き
豊富に含まれているレチノール(ビタミンA)は、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めるなどの働きがある。また、視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物資の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保つ働きなどもある。
ビタミンB2は牛や豚のレバーと比べて倍近い量が含まれている。脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立つ働きがある。
筋肉のアミノ酸にはプロリンという成分が多く含まれており、表皮細胞増殖促進活性、コラーゲン合成促進活性、角質層保湿作用などの働きがある。
一方、骨らしい骨がないため、カルシウムは少量しか含まれていない。
栄養成分
たんぱく質、脂質、カルシウム、リン、鉄分、ナトリウム、カリウム、ビタミンA(レチノール)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2など
注意点
生きたヌタウナギからは大量の粘液成分がでるため、釣りなどで手に入れたものをさばく際には、粘液成分を取り除こうとはせず、皮をはぎ内臓を取り除いてから水洗いすると良い。
ポイント
新鮮なヌタウナギを味わいたい場合は、取り扱っている韓国料理店へ。また、干物にした「棒アナゴ」「棒鰻」は通販で入手できるが、流通量が少ないためすぐに品切れなることも。見つけたら早めに注文すること。