産地と属性
フトモモ科の常緑樹チョウジノキの蕾を乾燥させた香辛料。和名はチョウジで、漢字では丁子または丁字と書く。乾燥させた蕾が「丁」の字に似ていることと、錆びた釘にも似ているため、その名がつけられたと言われている。香辛料の他に、「丁香」と呼ばれる漢方薬としても利用されている。
原産地は「香料諸島」とも呼ばれるインドネシアのモルッカ諸島で、現在もインドネシアが最大の生産地となっている。その他、マダガスカルやタンザニア、スリランカやインドなどでも栽培されている。
日本には薬用としてかなり古くから伝わり、正倉院の所蔵薬物のなかにもみられる。また、江戸時代になると、香料として「丁子の粉」が料理に使われたとの記録もある。
甘く濃厚でスパイシーな香りがあり、バニラやシナモンと合わせると甘みが引き立つ。臭みを消す効果があるため、肉料理や魚料理で使われてきたが、カレーなどでも使うことがある。
栄養成分の働き
精油成分を多く含み、その中心はオイゲノールと呼ばれる成分となっている。このオイゲノールは、強い抗酸化作用があるため血液をサラサラにして生活習慣病の予防に効果があるほか、抗菌・抗ウイルス作用によって口臭予防や感染症対策にも効果がある。また、鎮痛・鎮静作用もあるため、歯科用麻酔の補助に使われることもある。
栄養成分
食物繊維、ビタミンK・C、マンガン、鉄、カルシウムなど
注意点
香りが強いため、使いすぎると料理自体の風味バランスを崩すことがある。使う量には注意が必要。また、強い精油成分を持つため、妊娠中や授乳中、小児などに提供する料理への使用は少量にすること。
ポイント
カレーやシチューなどで丸ごと(ホールで)使う場合は、盛り付けの際に取り除くこと。パウダーは、肉料理やマリネなどの臭い消しに使うほか、焼き菓子に使っても良い。