大麦

産地と属性

イネ科の種実。小麦と並ぶ、世界最古の農作物である。葉が小麦より大きいため、大麦と呼ばれる。穂の性質により、六条種と二条種に分けられるが、食用には六条種が使われる。
大麦の原産地は西アジアの肥沃な三角地帯といわれ、およそ10000年前から栽培されてきた。古代ギリシア時代には、主要作物のひとつとして穂が貨幣のデザインに使われたこともある。
中国やインドでも5000年近く前から栽培され、朝鮮半島を経由して日本に渡ってきたのは縄文時代から弥生時代にかけてといわれている。奈良時代にはすでに多くの量が栽培され、『延喜式(えんぎしき)』にはおもな産地として、河内、和泉などが挙げられている。また、日本最古の医学書『医心方(いしんぽう)』には「熱毒を除いて内臓の働きを整える」とあり、徳川家康が健康のために麦めしを食べていたこともよく知られている。
代表的なメニューは、大麦ごはんにとろろ汁をかけた、とろろごはん。大麦を炒って粉にした「麦こがし」は「はったい粉」とも呼ばれ、らくがんやようかんなどの和菓子の材料として使われる。また、みそやしょうゆ、麦茶の原料にも使われている。
押し麦、白麦、丸麦、ひき割り麦などの種類があるが、押し麦、白麦は水につける時間が短くてすみ、炊き方も通常の米と変わらないので扱いやすい。

栄養成分の働き

米に大麦を混ぜて炊いた麦めしが、貧しさの象徴というのは昔の話。今はでは動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防し、食物繊維によって便秘を解消の改善、肥満予防にも有効な食材として注目されている。
カルシウムは骨や歯の強化、漢方的な効果もあり、消化不良の改善や胃腸の働きをよくするといわれている。ほかにも疲労回復、精神安定、抗ストレス、糖尿病や高脂血症の予防など、多くの効果が期待できる。

栄養成分

でんぷん、カルシウム、食物繊維、ビタミンB群など

注意点

ひき割り麦は水につけると味が抜けてしまうので、一緒に炊く米だけを水につけておく。
体を冷やす作用があるので、冷え性の人は食べすぎないこと。

ポイント

高温、多湿を避けて保存する。
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