産地と属性
フグ目カワハギ科の海水魚で、青森県以南の日本海や太平洋沿岸、瀬戸内海の水深100メートルより浅い砂地を中心に生息する。また日本以外でも、朝鮮半島の南岸からフィリピンまで広く分布している。
体長は大きいもので30センチほど。名前の由来は、ざらざらとした皮(表皮)が簡単に剝がせることから。
一年を通して出回っているが、旬は秋から冬で、この時期はキモ(肝臓)に脂肪が蓄えられて大きくなっているため。このキモは「海のフォアグラ」と呼ばれることもある。養殖もされているが、天然物の方が高値で取り引きされている。
身は白身で歯ごたえがあるため、刺身の場合は薄造りにし、キモを醤油に溶いた「キモ醤油」につけて食べられることが多い。その他、煮つけや焼き・揚げ、鍋の具材にすることもある。
栄養成分の働き
脂質が少なく、良質なたんぱく質を多く含む低カロリーな魚。たんぱく質は、体力向上や代謝活動の促進、免疫力を向上させる働きがある。ビタミン類の中では、ビタミンDが特に多い。ビタミンDは、カルシウムの吸収促進や骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する働きがあるため、育ち盛りの子供や骨粗しょう症になりやすい高齢者には必須の成分。
また、淡白な身と違ってキモは、脂質やビタミン・ミネラル類を豊富に含んでいる。
栄養成分
たんぱく質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、銅、亜鉛
注意点
夏のカワハギは、キモが小さいかわりに身つきが良いため、身を主に食べる場合は夏のものを。
また同じようにして食される魚に「ウマヅラハギ」があるが、カワハギよりも安価であり、身・キモとも味わいは若干淡泊となる。
ポイント
キモ醤油にする場合は、生のキモのまま裏ごしすると良い。また、湯通ししたキモは、そのままポン酢などで食すと美味。