切り干し大根(きりぼしダイコン)

産地と属性

切り干し大根は、ダイコンを薄く細長く切って乾燥させた保存食で、単に「切り干し」と呼ばれることもあるが、これらは関東での呼び方であり、関西では「千切り(せんぎり)大根」などと呼ばれている。

縦に大きめに切って干した厚みのある「割干し大根」や、千切りにしたダイコンを一度ゆでてから干した「ゆで干し大根」、薄くひらひらとした短冊切りにして干した「平切り大根」など、作り方によっていくつかのバリエーションがある。

ダイコン自体は室町時代に広まったと言われているが、江戸時代になると品種改良が進み、漬物や切り干しなどにして保存されるようになる。特に切り干し大根は飢饉対策用の保存食にもなるため、全国で作られるようになった。

江戸時代は尾張(愛知県)が代表的な産地だったが、明治以降は青首大根とともに切り干し大根の技術が伝わった宮崎県が一大産地となり、今では全国の切り干し大根の9割を県内で生産している。

栄養成分の働き

乾燥させて作られる切り干し大根は、水分が抜けている分、栄養素が詰まっている。

骨や歯を作るのに欠かせないカルシウムは、同じ重量の生のダイコンにくらべて20倍以上含まれており、生のものよりも効率的に摂取することができる。

また、ナトリウムを身体の外に出し、塩分の摂り過ぎなどを調節するカリウムも、生のダイコンにくらべて15倍以上含んでいる。

赤血球の生成に関わり「造血のビタミン」ともいわれる葉酸や、腸内環境を整える食物繊維なども、生のダイコンより豊富に含んでいる。

栄養成分

たんぱく質、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、ビタミンB1・B2、食物繊維

注意点

保存の効く乾物ではあるが、長期間常温保存すると茶色く変色するため、常温保存する場合は密閉容器などに入れて涼しい場所で保存すること。または冷蔵庫の冷蔵室で保存するとよい。

ポイント

もどす時に、長く水につけすぎると風味や食感が悪くなってしまうため、気をつけること。また、もどし汁にも栄養が出ているため、もどし汁を料理に活用すると栄養をムダ無く摂取できる。

 

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