産地と属性
一般的に出回っている鴨肉のほとんどは「アイガモ(合鴨)」で、アイガモは「マガモ(真鴨)」と「アヒル(家鴨)」を交配して作られたもの。ただ、アヒルはマガモを品種改良して家禽にしたものであり、生物学上「アイガモ」「マガモ」「アヒル」の間に明確な違いはないとされている。しかも現在主に飼育されているアイガモの「チェリバレー種」は体毛が白く、見た目ではアヒルと酷似している。一方、ジビエ料理などで供される野生のマガモは「野鴨」と呼ばれ、雄の頭部が緑色をしていることから「青首」という名でも親しまれている。この野鴨の旬は、脂がのる冬の時期。また、世界三大珍味のひとつ、フォアグラは一般的にはガチョウの肝臓だが、カモのものもある。(フォアグラ参照)
アイガモの飼育は全国で行われており、各産地では「〇〇鴨」といったブランドがつけられている場合が多い。
栄養成分の働き
鶏肉よりもこってりとした味わいが特徴の鴨肉の脂質には、健康によい不飽和脂肪酸が含まれている。不飽和脂肪酸は、血中コレステロールを下げ、生活習慣病の予防に役立つといわれており、なかでも体内でDHAに変わるα-リノレン酸、リノール酸が多く含まれているため、その含有バランスは魚類に似ているという特徴がある。
鶏肉よりも低カロリーながら、健康と美容に欠かせないビタミンB群を多く含み、特にビタミンB2は鶏肉の4倍近くあり、コラーゲンも豊富。
ミネラル成分は、鉄が鶏肉の約10倍、銅は約9倍あり、栄養バランスが非常によく、皮膚や関節の健康維持、疲労回復や貧血予防などが期待できる。
栄養成分
たんぱく質、脂質、鉄、ビタミンB1・B2など
注意点
選ぶ際は、肉色が鮮やかな赤のものを選ぶこと。またホールで買うときは、ずっしりと重みのあるものを。
生のままの保存は避け、加熱してから冷蔵庫で保存すること。
ポイント
鴨肉は火を入れすぎるとすぐに硬くなるため、鴨鍋などにする場合は、先に野菜を入れて火を通しておいてから少量ずつ鴨肉を入れていき、煮えばなを食べると本来の味が楽しめる。