ゆば

産地と属性

豆乳を加熱した際、上面にできる薄い膜を竹串などを使って引き上げたもの。豆腐との違いは、にがりや凝固剤で固めるのではなく、熱によって自然に膜状に固まったものであること。

漢字では、「湯葉」または「湯波」のどちらかで書かれることが多い。ちなみに名前の由来のひとつに、作る際にできる表面のシワが、老婆のそれに似ていることから「姥(うば)」と呼んでいるものが、いつしか「ゆば」に変わったという説がある。

精進料理の具材としても有名なゆばは、1200年ほど前に、最澄が経典などと共に中国から持ち帰ったもののひとつで、比叡山延暦寺で食されたのが最初であると言われている。

現在の産地は、関西地方では京都・奈良・滋賀(近江)、関東では山梨(身延)と栃木(日光)が有名で、寺社の門前町が中心となっている。

栄養成分の働き

「畑の肉」と呼ばれる大豆に由来する良質なたんぱく質の他、様々な栄養素を持つ。

ポリフェノールの一種である大豆サポニンは、強い抗酸化作用があり、悪玉コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化予防に効果が期待できる。また同じポリフェノールの一種である大豆イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをすることから、ハリのある肌を作り、骨粗しょう症の予防に役立つ。

鉄は、酸素を全身に運ぶ赤血球を作るために欠かせないミネラルで、貧血予防などに効果が。亜鉛は、細胞を作り成長を促す働きがあり、美しい肌や髪を保つために必要な栄養素。

栄養成分

たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンK、ビタミンB1・B2、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛など

注意点

ゆばに含まれる鉄や亜鉛は吸収されにくい成分のため、ビタミンCと一緒に摂ると効果的と言われている。しかし、ゆばにはビタミンCが含まれていないため、それらの成分も上手に摂るためには野菜類などと併せて食べること。

ポイント

ゆばは、刺身などで食べる「生ゆば」と、干して乾燥させた「乾燥ゆば」の2種に大別される。乾燥ゆばは、吸い物の具や戻して「ゆば巻き」などに使われるため、目的に合わせて使い分けると良い。

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