アオヤギ(青柳)

産地と属性

マルスダレガイ目バカガイ科バカガイ属の二枚貝の一種。和名はバカガイ。
東南アジアから東アジア南部にかけての浅海に分布。日本では、北海道から九州まで広い範囲でとれる。
大きさは8㎝ほどで、殻が薄くて壊れやすい。殻の表面には放射状のスジが入っており、身はオレンジ色をしているのが特徴。
青柳(あおやぎ)というのは、千葉県市原市青柳町の地名から。その昔、バカガイの集積地だったことに由来する。バカガイは、家である貝が壊れやすいことから、壊家貝(はかかい)が語源になっているといわれるが、由来には諸説ある。水揚げして叺(かます)などに入れておくと、オレンジ色をした足が殻からだらりと伸びている様が、バカな者がだらしなく舌を出している様子に似ていることから「馬鹿貝」と呼ばれるようになったとする説や、東京や千葉県などで「バカのようにたくさん採れたから」とする説もある。
江戸時代にはすでにバカガイと呼ばれており、『和漢三才図会(ずえ)』には「オオノガイ」として記されている。
一般には、殻を取り除いたむき身を「あおやぎ」という。
旬は春。市場では、むき身にして出回ることが多いが、潮干狩りでも沖合に行くととれる。
貝をむくと、大小2つの貝柱があり、大きいものだけを集めた「大星」と、小さいものを集めた「小星」がある。かき揚げにしたり、軍艦巻きなどで食される。足の部分(オレンジ色の部分)を「舌切り」と呼び、刺身や酢の物などで食される。甘みがあり、弾力のある、独特の食感が楽しめる。

栄養成分の働き

β(ベータ)‐カロテンは、体内でビタミンAに変わる赤い色素。強い抗酸化作用があり、生活習慣病やがんの予防に効果がある。
ビタミンB12は悪性の貧血を防ぐほか、神経細胞内のたんぱく質や核酸(遺伝子の主成分)の合成を助けたり、修復をしている。
ベタインは、甘みとうまみにかかわっている成分で、胆汁の生成を促進し、脂質の代謝を高めたり、コレステロールを減少させる働きがある。
タウリンは、肝臓の解毒作用を強化することで知られているほか、心機能を高める作用もある。また、交感神経に作用して血圧を下げたり、コレステロールの代謝を助けて排泄を促し、動脈硬化の予防に有用とされている。
コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの原料になる生命活動には欠かせない物質だが、摂りすぎると動脈硬化の原因となる。青柳にはタウリンが豊富に含まれているため、コレステロール値が高くなるほどの影響はないとされている。

栄養成分

β‐カロテン、ビタミンB12、ベタイン、タウリン、コレステロール、鉄、各種ビタミン、ミネラル類

注意点

腸炎ビブリオ菌が繁殖しやすいため、生で食べるときには鮮度のよいものを選ぶ。

ポイント

肉厚で、色が濃いほど新鮮で味もよい。
殻つきのものは、なかなか砂が抜けないので、むき身にして洗うとよい。
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