ピータン

産地と属性

アヒルの卵を熟成させた加工食品。漢字では、「皮蛋」と書く。
おもな産地は、中国と台湾。
明朝の初めごろの中国で、アヒルの卵を灰の中に埋めたまま忘れて、発酵してしまったものが偶然発見されたことが始まりとされている。現在は、石灰や木炭、塩、茶、粘土などを練って卵の殻に塗り、もみがらをまぶして熟成させる。鶏やウズラの卵でつくられる場合もある。
発酵途中でアルカリ成分が卵の内部に浸透し、白身は黒色のゼリー状に固まり、黄身は暗緑色になる。アンモニアや硫化水素を含む、刺激のある香りと味をもつ。
中国でも日本でも、前菜としてそのまま食べたり、食材として使われることが多い。

栄養成分の働き

ビタミンDが豊富で、カルシウムとリンの吸収を助けるため、丈夫な骨や歯の形成に有効。
ビタミンA、E、鉄の含有量は鶏卵以上で、ビタミンAであるレチノールは、成長の促進や肌の健康維持をはじめ、視覚、のどや鼻の粘膜の強化、免疫力の維持などに働く。ビタミンEは抗酸化作用をもち、体の酸化を防ぐため、老化の防止や動脈硬化、生活習慣病を予防することが期待される。鉄は、体内の各組織に酸素を送る機能を助け、貧血の防止につながる。
色素成分「カロテノイド」の一種であるルチンには、強い抗酸化作用があり、活性酸素による体内の酸化を防ぎ、老化を防止する。
細胞の形成に欠かせない成分であるレシチンを含み、これが脳の細胞や神経の組織に働き、記憶力の維持や向上が期待される。

栄養成分

たんぱく質、脂質(レシチン)、ナトリウム、リン、ビタミンD、ビタミンB、ビタミンK、カルシウム、ビタミンA(レチノール)、鉄、ルチンなど

注意点

保存中に強いアンモニア臭がする場合、腐っているので食べられない。
加工の過程で鉛の化合物を使用していることが多いため、食べ過ぎると鉛中毒となる危険がある。

ポイント

食べる際は、粘土やもみがらを洗い落として殻をむき、発酵中に発生したガスなどを散らすため、スライスしたら約10分ほどおいてから食べる。
冷暗所で保存すれば、長期保存が可能。
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