産地と属性
パスタとはイタリア語で小麦粉を練って作られた麺類の総称だが、それらを使った麺料理を指すこともある。小麦は主にデュラム種が用いられ、それに水、塩、鶏卵などを加えて練る。デュラム小麦は、別名をマカロニ小麦とも呼ばれ、パンやうどんなどに使われる普通小麦の祖先にあたる種で、弾力性の強いグルテンを豊富に含んでいるため、シコシコとした食感が求められるパスタに適している。なお、乾燥パスタの袋によく記されている「デュラム小麦のセモリナ」の「セモリナ」とは製粉の過程でできる粗い穀粉のことで、イタリアでは法律によって、乾燥パスタはデュラムセモリナ粉と水で作ることが義務づけられている。
パスタは、スパゲッティに代表される麺状のロングパスタと、マカロニに代表されるようなショートパスタの2種に大きく分けられるが、その他に団子状のものや板状のものもある。イタリアでは650種類以上あるといわれているが、日本で良く使われるものは以下の通り。
<ロングパスタ>
・スパゲッティ(spaghetti)
円形の断面を持つ。主に1.9mm前後の太さのもの。
・スパゲッティーニ(spaghettini)
「より細いスパゲッティ」という意味で、1.6mm-1.7mm程度の太さのもの。
・フェデリーニ(fedelini)
さらに細めのスパゲッティで、太さは1.4mm-1.5mm程度。
・カペッリーニ(capellini)
円形の断面を持つロングパスタの中で最も細いタイプで、名称は「髪の毛」が語源となっている。
・リングイネ(linguine)
楕円形の断面を持つパスタ。短径が1mm、長径は3mm程度。
・ブカティーニ(bucatini)
穴の開いているロングパスタ。スパゲッティよりもやや太く、名称は「穴」に由来する。
・タリアテッレ(tagliatelle)
卵を入れて平たくのばし、幅5mm程度で切り分けたパスタ。フェットゥチーネ(fettuccine)と呼ぶ地域もあるが、そちらは幅7-8mm程度ともう少し幅広になる。生パスタが多いが、乾燥パスタもある。
<ショートパスタ>
・マッケローネ(maccherone)
日本で「マカロニ」と呼ばれるショートパスタ。マッケローニとは「穴のあいた棒状のもの」を指す。
・ペンネ (penne)
ペン先のように斜めにカットされた筒状のパスタ。表面に細い溝のあるものはペンネ・リガーテ(penne rigate)、小型のものはペンネッテ(pennette)と呼ばれる。
・ファルファッレ(farfalle)
イタリア語で「蝶」を意味する蝶の形をしたパスタ。
・コンキリエ(conchiglie)
イタリア語で「貝」を意味する貝殻のように小さく巻いたパスタ。大型のものはコンキリオーニ(conchiglioni)、小型のものはコンキリエッテ(conchigliette)とも。
・フジッリ(fusilli)
螺旋状のショートパスタ。日本では「カールマカロニ」とも呼ばれる。
<その他のパスタ>
・ラビオリ(ravioli)
詰め物入りパスタ。2枚で閉じたもの。
・トルテッリ(tortelli)
詰め物入りのパスタ。1枚で閉じたもの。
・カンネッローニ(cannelloni)
詰め物を筒型に巻いたパスタ。日本では「カネロニ」と呼ばれることが多い。
・ラザーニェ(lasagne)
日本では一般的に「ラザニア」と呼ばれる板状のパスタ。
・ニョッキ(gnocchi)
潰したジャガイモに、ホウレンソウやポルチーニ茸、リコッタチーズなどを混ぜて作られる団子状のパスタ。
栄養成分とその働き
詰め物や混ぜ物のないデュラムセモリナ100%のパスタは、白米とくらべカロリーは約半分程度だが、たんぱく質や食物繊維などの他に、ミネラル分も多く含む。
また、他の炭水化物とくらべ食後の血糖値の上昇度を示す指数であるGI値が低いため、糖の吸収や脂肪を抑え、肥満になる原因を防ぐことにつながる。
注意点
パスタそのもののカロリーは白米とくらべて低いものの、どのようなパスタソースや具材と組み合わせるかによって当然カロリーは変わってくる。ポロネーゼやペスカトーレなどは、カロリーが高くなる傾向があるため、ダイエット中の人には注意が必要。
ポイント
パスタを茹でる時には1%程度の塩を加えるが、これにはパスタを引き締め、表面のぬめりを防ぐ効果がある。ただし、パスタ自体に塩味がつくので、ソースの塩味とのバランスをとる必要がある。
また、わずかに芯が残る、いわゆる「アルデンテ」の状態になるように茹でた方が良いとされているが、その後の調理法(ソースとあえるだけ、炒める、スープに入れるなど)によって茹で上がりの硬さを変える方が良い。